2019.1.26 小林峠→砥石山・八剣山縦走

【山名・コース】砥石山・八剣山縦走
【期間】 2019年1月26日 【天候】晴れ
【形態】 ・ C ・ P ・ 他
【性別】 男性 名4 女性 1名
【メンバー】 CL赤,SL佐,吉,椎,平,佐(部外)
【山行形態】 尾根 (縦走) 沢登り 岩登り 登攀 山スキー 
【地点時間】〔記録者〕会員№358 吉
 7:00道路情報館→7:20八剣山トンネル脇駐車場→7:50小林峠駐車場(砥石山登山口)→8:05登山開始→10:20八垂別分岐点→11:50三角山→13:00砥石山山頂着→13:15山頂出発→14:20 780㍍ポイント→16:15 647㍍ピーク→17:40 578㍍ピーク→18:45八剣山西口登山口→19:00八剣山トンネル駐車場(車デポ地点)

 

【短信・感想】                                                   会員 Y

 今回の山行計画は南区住民の私にとって、とても気になる縦走計画であった。砥石山も八剣山もどちらも何度も登っている愛着のある山である。けれども、縦走して一気に登るという事は考えたことがなかった。計画が出されたとき、「なになに?」と思い、「そんなの可能なのか?」と思った。山地図ソフト「カシミール」を使って、予想されるコースを地図に書いてみた。「確かに行くことはできる・・・」。でも砥石山から八剣山までは、地図上に線を引いただけなので、イメージが沸かない。コース断面図を作ってみた。そして判った事は、「砥石山までたどり着けたら、八剣山まではほとんど下りるだけだ」という事だった。「砥石山まで登れたら、何とかなるのかもしれない!」というのが出発前の個人的な結論だった。

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最近の山行は、参加してリーダーに連れて行ってもらうにしても、自分一人での単独行を出来るだけイメージする事にしている。そっちの方が面白い。連れて行ってもらうだけなら、体力トレーニングがメインテーマになってしまって、何か辛くなってくる。
 前日は南区ではフワフワの新雪がかなり降った。「ラッセルはどの程度大変なのかな?先行者が居ればいいのになあ!」とか思いながら、八剣山に車をデポした後、小林峠に向いながら、考えていた。案の定、小林峠駐車場には駐車している車はなく、当然トレースもない。でも、膝あたりまでの新雪はフカフカの軽さで、歩きやすい。
 まずは旧コバワールドスキー場の山(八垂別山)への急登を順調に進む。その後のT4分岐までも急登もなく2時間15分程度で順調に進む。いよいよここからが本格的な急登の開始である。樹林帯の中での急登は雪が吹き溜まっており、いくらフワフワの雪でも股近くまである雪の中の急登は辛い。トップを代わりながら交代でラッセルするが、部外参加の佐竹さんのワカンでの膝をうまくつかったラッセルには目を見張った。三角山山頂を巻いたあたりでは既に出発してから4時間弱を経過していた。出発時、リーダーは砥石山頂到着のリミットを13時に設定していた。13時までに山頂に到着出来ない場合はピストンに変更するとの事。
 今、三角山到着が11時50分。リミットまであと1時間ちょっとしかない。縦走は無理だろうとまずは思った。三角山の先には急登が待ち構えている。「家で大阪なおみの決勝戦を見たいから、明るい内に帰りたい!」という声も聞かれる。僕もまったく同感だと思いながら、直ぐに回ってくるラッセルのトップにガンバってついていった。
 リーダーが「ヘッドライトを持ってきましたか?」と聴いてくる。「何だ!何だ?」「行くって事か?」
 砥石山山頂に到着した。時刻は13時00分。なんと1分の遅れもなく13時丁度についた。着いてしまった。そして予定通り、八剣山までの縦走は行われる事になった。

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僕自身も、「砥石山山頂に到着さえできたら、八剣山までの縦走は何とかなる」という考えであったから、『ほとんど人の通らない未知のルートを楽しもう!見たことのない方位から支笏湖方面の山を見てみよう!』と気持ちを切り替え、山頂から西に向かって一歩を踏み出した。
 『基本的には下りだけである。尾根が分かれている箇所がいくつかあるので、コース選定が最重要である。』というのが頭の中にあった。ということは、スマホのGPSが確実に機能してくれる事が前に進むための前提となってくる。スマホのバッテリーは先月7000円も出して交換した。使い捨てカイロもスマホに貼ってきており、バッテリー残量も現時点で60%台をキープしている。スマホを節電の機内モードにしっかりと換えてある。雪で濡らさぬ様、注意だけは怠らない様にしよう!ただ、予備バッテリーとの接続コードの持参を忘れた!ちょっと心配である。

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 778㍍ポイントに着いた。『ここは今回の山行の一番の要注意ポイント!』と思っていた。明確な稜線が目の前に真っ直ぐに続いているが、左手下の急斜面にボヤッと見える尾根に取付かないといけない。真っ直ぐ行くと、百松橋から神威岳に向かう林道の方へ行ってしまう。778㍍ポイントで進路を大きく南に転向した。時間は14時20分。まだ明るい。

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 南の方に紋別岳が見える、藤野のスキー場がその手前に見えるという初めての位置関係が面白い。風はなく、天気は良い。急斜面の下りをゆっくりと一歩一歩下りていった。砥石山から戻らず、八剣山方面へ進んだからこそ、今、この風景を見ることが出来ている。前進して良かったという思いが込み上げてきた。
 778㍍ポイントを下った後は尾根が複雑に枝分かれしている。下るべき尾根の隣りの尾根に入ったり、修正したり、「右だ」「いや左だ」と議論を繰り返しながら、647㍍ピークに16時過ぎに到着した。しかし、目の前にはまだかなり高そうなピークが聳えている。「これは八剣山だ」と思いたいが、そうではなく、その手前の578㍍ピークである。朝からもう8時間行動しており、かなり疲れてきている。が、まずは目の前のこのピークを越えねばならぬ。が、さらに、その前に標高差150㍍ほどを下らねばならない!
 結果的にはこの下りが今回の山行で一番辛かった。とても細い尾根で、灌木が多く生い茂り、雪も深く、雪庇もあり、しかも薄暗くなってきている。股の間に太い木が入ってしまって抜け出せない。Sさんが頭を下にして落ちてきた。その後、ケロッと下り続けているのがこれまた恐ろしい。Hさんの手袋を私のスノーシューの歯と樹木の間に「ガシッ」挟み付けてしまった。怪我をしなくて本当によかった!上の方にヘッドライトの明かりが見える。下の方にも明かりが見える。と思っているとリーダーが雪庇から落ちそうになった。
 この難所を何とかクリアし、いよいよまた目の前の578㍍ピークに登る。リーダーが先頭でガシガシ登る。このときリーダーを非常に頼もしく思えた。そうして真っ暗の中、17時40分、578㍍ピークに到着した。「これで今日はもう一歩も登る必要はない!」。なんとこのピークには『八剣山北峰』という立派な名前が付けられていた。

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もう風景モードでは写真は撮れないので、フラッシュを焚いて標識をしっかりと写真に納めた。簾舞、藤野の街の夜景は脳の記憶の中だけにしか収める事が出来なかった。
 やっと、後は街の明かりに向かって下るだけである。八剣山西口登山口に向かって下山し、登山口に18:45 着。車デポ地点に19時00分に到着する事ができた。 
 こうして11時間の記憶に残る砥石山・八剣山縦走山行は無事終了した。11時間で11㌔を歩いたのだから、平均歩行速度は1㎞/時となる。実際の行動距離は14㌔オーバーであった。
この山行に参加できた事に本当に感謝します。Aリーダー、ありがとうございました。参加された皆さま、お疲れ様でした。

【ひやり・ハット】 A

  前日の大雪により登りで時間を要したが、リミットの13時までに砥石山の頂上に到達できたので参加者の意向も 確認した上で縦走を継続した。しかしながら地形が複雑な未知の稜線の下降に時間を要し、ヘットランプを装着しての下山となった。

 

  当日の天候は安定しており標高も700m程度であったことから縦走を継続したが、行動の基本として日没後の行動とならないよう時間配分を慎重に行う必要があった。」