2020-08-01~03 幌尻岳(2052㍍)[千呂露川・二岐沢コース]

【山名・コース】幌尻岳(千呂露川・二岐沢コース)

【期間】 2020年 8月1日~3日 2泊3日   【天候】 晴一時曇り

【形態】 (A)・ C ・ P ・ 他

【性別】 男性3名 女性1名

【メンバー】 CL:二,SL:納,佐T,吉K

【山行形態】 (尾根) 縦走 沢登り 岩登り 登攀 山スキー 

【地点時間】〔記録者〕会員№358 吉K

 8月1日 5:30 日高道の駅集合→6:45二岐沢出合駐車場出発→7:35取水ダム→10:25

トッタの泉→12:35ヌカビラ岳→13:25テント場着(北戸蔦別岳手前の小ピーク)

→テント設営→14:50北戸蔦別岳山頂→15:20テン場

 

8月2日 5:00テン場出発→5:15北戸蔦別山頂→6:00幌尻山荘への分岐→6:45戸蔦別岳山頂→7:15七ツ沼カール分岐→7:40七ツ沼カール着→8:00七ツ沼カール発→

8:30七ツ沼カール分岐→10:20幌尻岳山頂着→11:00幌尻岳山頂発→13:10戸蔦別岳→北戸蔦別岳→15:15 テン場着

 

8月3日 5:05テン場出発→5:30ヌカビラ岳→6:20トッタの泉→朝食→7:15トッタの泉発→7:45尾根下→9:00二の沢出合→9:30取水ダム→10:30二岐沢出合駐車場着

 

【短信・感想】会員№358 吉K

 

 幌尻岳はずっと憧れの山だったけれど、これまで何度か、チャンスはあったものの、様々な理由で登る事はできなかった。

 その機会が今年巡ってきた。今年はコロナ禍の年であり、シャトルバスは動かず、幌尻山荘は閉鎖なので糠平コースはダメ。さらに新冠コースも林道工事のため、通常の17㌔林道歩きの他、30㌔の林道歩きが加わってしまい、実質利用不可。よって、残りは千呂露川・二岐川コースがあるのみである。このコースの夏山ガイドによる総合評価は100点満点の100点である。これまで幌尻岳は常に頭の片隅に意識しており、それなりの山行継続も行なってきたので、怖くはいが先月の羅臼岳黄山縦走より緊張している。

 緊張の理由は距離が長い上に、水の確保の場所が初日の一ヶ所のみで、テント泊2泊という流れに対して、対応できるか・・という事である。

 

 朝5時半に日高道の駅集合なので、朝はそれなりに早い。早いというか朝2時過ぎに起きて出発準備をした。納さんは眠眠打破を飲んで登山を開始した。昨晩は仕事で早く寝られなかったようだ。

 6時45分に千呂露川二岐沢出合の駐車場から登山をスタートした。車は30台以上停まっている。今日停めた人、昨日停めた人、幌尻岳に向かわずピパイロ岳に向かう人など様々な人が停めているとは思うが、それにしても多い。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908130204j:plain

 まずは取水口ダムまでの林道歩き。この間は自転車にザックを積んで移動している登山者もいた。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908130252j:plain


取水口ダムからは沢沿いの登山道歩きである。さらに標高820㍍で二ノ沢に入るが、沢の二股のところで登山道が高巻きしているので、行きは知らないうちに二ノ沢に入ってしまっていた。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908130356j:plain


まだ水は1.5㍑程度しか持っていない。沢を何度も渡渉し、小さな高巻きを繰り返し、見晴らしはよくないが、沢の清流を楽しみながら登っていった。標高1000㍍付近で尾根にとりつき1440㍍の「トッタの泉」まで急登が続く。

 「トッタの泉」は最初で最後の水場である。何㍑担ぐかは、出発前から悩んでいた。二さんは「私は3㍑で大丈夫!」との事。そうなんだと思う。出発からここまでで既に1㍑弱を消費している。私は汗かきで、夏は水を沢山飲む方である。最初は6㍑と思っていたが、5㍑にしようと思い直し、さらに4.5㍑に下方修正した。案の定、荷物はずっしりと腰に加重がかかる。ここからはまた、1808㍍のヌカビラ岳までの急登が続く。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908130522j:plain


辛いのだがガスが晴れてきて、ハイマツ帯に入ってきて見晴らしも良く、目標の幌尻岳も綺麗に見えてくる。でもそこに到達するに必要な、いくつものピークも見えている。その中でも戸蔦別岳のミラミッドが美しいが、難敵に見える。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908130619j:plain

 日高の山の尾根上にテントを実際に張るイメージが沸かなかったが事前の不安の一因だったが、ヌカビラ岳ピークを過ぎ、北戸蔦別岳に近づくと地面がむき出しになったテン場が現われ、テントが張られている。当たり前のテン場であってホッとした。我々もどこにテントを設営するかキョロキョロしながら前進するが、既に先客がいたり、また先に進みすぎて見つからず戻らなければならない事も考慮し、平らなササ原を選んだ。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908130742j:plain


北戸蔦別岳一つ手前のピーク近くである。疲れてはいるが、13時半前に到着し、時間には余裕がありマッタリとした時間を過ごす。空身で北戸蔦岳山頂までいったりもした。佐竹さんから、ピパイロ岳、チロロ岳、1967峰、遠くには旭岳、トムラウシ、夕張岳、芦別岳の山座同定講義を受け、気温も高く、楽しい時間の流れであった。が、トッタの泉以降で水を1㍑以上消費している事に気づいた。1㍑担ぐべき水が少な過ぎた!やばい!節水していたつもりでも、実際は全く飲み過ぎている。初日の夕方から節水山行が始まった。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200905201515j:plain

 

 

 二日目の出発は5時。アタックザックで北戸蔦別岳、戸蔦別岳、七ツ沼、最後に幌尻岳と歩き、再びテン場まで戻ってくる予定である。このとき先月行った羅臼岳・硫黄山縦走の2日目のイメージを持ってしまっていた。「大変だけれど、既に尾根まで登ってしまったのだから、あとは軽く登ったり、下ったりと何とかなるだろう!」というイメージである。しかもアタックザックでの山行で荷物は知床より軽い。ただ、水が少し足りない。出発前からそれは判っていたが、気になる。

 心配する心は一方であるものの、目の前には絶景が広がっている。佐Tさんから、「あれがエサオマントッタベツ、あれがカムエク、あれが十勝幌尻!」と教えてもらう。遠方ではあるが、カムエクの形がとてもカッコ良かった。二Hさんから、テン場の場所やルート取りなどのアドバイスをもらい、少しだけ身近な存在になってきた。1967峰も美しい。昭和42年生まれ(1967年)の山好きさんが登ったらいい山なんだろうと思ったりする。

 

 戸蔦別岳(1959㍍)の急登を登り切り、次は七ツ沼(1600㍍)まで下る。夢にまで

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908131924j:plain

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908131222j:plain

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908131304j:plain

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908132146j:plain


見た七ツ沼カールではあるが、雪渓は既になく、沼に水は無い。沼には多くの鹿の足跡

と、子熊の足跡があった。爪の鋭さから子熊らしい。夢みていたのとは少し違う風景で

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908131347j:plain


はあったが、七つ沼カールに自分が居ることに感動した。そして水。まだほんの少し雪渓が残っており、その下に水が溜まっているのを発見する。飲んだらいけない理由は山ほどあるが、持っていかない選択肢はない。プラティパスに500㍉㍑ほど詰めた。1㍑詰めたいところだが、水が浅くて詰められない。「飲みます!」と言うと反対されるのがオチなので、「テン場で沸騰させて飲みます」とだけ答えた。ゴミも少し入ってはいたが、メチャクチャ美味しかった。

 

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908131517j:plain


 次は目の前に聳える幌尻岳の肩に登る番である。また350㍍の急登だ。七ツ沼の500㍉㍑の水の影響は大きかった。気分的に楽になり、身体も元気になり、心のガスが綺麗に晴れた。

 幌尻の肩からは、急登もなく広い幌尻岳に10時20分に到着することができた。今朝の出発から5時間20分の登りであった。昨日自宅から持参した梅干しの一杯入ったおにぎりを食べた。気温は高い。眺望はあまり望めなかったが、長年の念願が叶い、うれしさが込み上げてくる。水も何とかなる。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908131626j:plain

 長めの休息後、テン場までの下山を開始したが、これがなかなか大変で、修行を行なっている気分になってしまう。

幌尻の肩までくると戸蔦別岳への急登が目の前にドーンと現われる。戸蔦別岳に登ると、七ツ沼の西に聳える屏風のような岩壁の上の細かなアップダウンが見てくる。次は北戸蔦別岳への長い登山道が遙かまで続いている。一歩一歩が辛く、これに耐えるよう、まだ冷静な脳の一部が大腿四頭筋を説得している。私より15㌔体重の少ない佐竹さんは蝶の様に斜面を登っている。このとき今年3㌔の減量実行を決意しました。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908131753j:plain

水は全員の残量を確認し、再分配した。最終日の「トッタの泉」までたどり着ける水消費に注意を払った。

f:id:hyakumatu_sapporo:20200905201326j:plain

 

f:id:hyakumatu_sapporo:20200908132035j:plain


 3日目の朝になっても、まだ好天は続いている。朝食はトッタの泉で採ることにし、朝テントを撤収し、水とグラノーラだけ口に含んで下山を開始。トッタの泉での朝食は、水使い放題の最高に贅沢な朝食でした。

 

 

ヒヤリハット

 

山行に必要な水の量は人によって異なる。自分にとっての必要量をしっかりと把握することが大切。

 ササの上にテントを張ると、クッションは良く、断熱性も高いが、設営時に四角にテントを張るのが難しく、今回の設営ではテントの床の形がひし形になってしまっていた。そのためフライと本体の間の隙間をきれいに確保するのが難しくフライに結露した水滴が本体内側にも垂れてきた。テントは土の上に設営した方が良いようである