2020-09-04~06 クワウンナイ沢

【山名・コース】クワウンナイ沢

【期間】 2020年9月4日~6日  【天候】 曇り、一時雨、一時晴

【形態】 A・ (C) ・ P ・ 他

【性別】 男性 2名 女性 1名

【メンバー】 CL 二 SL 納 吉

【山行形態】 尾根 縦走(沢登り) 岩登り 登攀 山スキー 

【地点時間】〔記録者〕 吉

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初日 5:00羽衣トンネルを抜けクワウンナイ川を渡った直後の駐車場集合→5:10駐車場出発→5:30ポンクワウンナイ川出合→12:25カウン沢出合(970㍍二股)→14:10魚止の滝→15:30幕営地点(C1320㍍)

 

二日目 6:30幕営地点出発→7:30ハングの滝→8:10 C1360㍍二股→12:30縦走路→

13:10天沼→14:05 ヒサゴ沼への分岐→15:00ヒサゴ沼避難小屋着

 

三日目 6:00ヒサゴ沼避難小屋出発→7:10縦走路分岐→7:40化雲岳山頂→14:30滝

見台→15:10天人峡温泉(下山)

 

【短信・感想】     吉

 クワウンナイの名前は40年前から知っていた。たしか雑誌ビーパルの特集で記事を読んだのだと思う。記事には「日本一の滑」の文字が躍っていた。クワウンナイではなくクァウンナイと書かれていたのも覚えている。丁度、渓流釣りに凝っていた頃で、川は胴付き長靴で歩くものだと思い込んでおり、かなりのプロフェッショナルが行く川だと思っていた。

 このクァウンナイ川にこの歳になって行けるなんて、本当に幸せである。

 

大型の台風10号が沖縄に近づき天気は安定していない。遡行途中で雨に遭う可能性もある中、駐車場向かいのクワウンナイ川右岸に着いている作業道を進むと20分ほどでポンクワウンナイ川との出合となる広い河原に出た。水は澄んでおり、ひざ上くらいの渡渉を何度も繰り返しながら、少し単調な河原歩きがずっと続く。

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 10時頃雨が降ってきた。下半身は既にビショビショだし、沢歩きは尾根歩きの様に遠景を楽しむという事はないので、雨はそれほど気にならない。水位や流量だけはしっかりと意識しないといけないけれど、雨の降り出した後も水位はずっと安定している。

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 カウン沢出合あたりで昼食タイムとし、納谷さんが釣りを始めた。始めたと思うとすぐに釣れる。オショロコマである。大雪、日高、知床などでよく見られる魚で、エゾイワナとは異なる、赤い斑点がきれいな魚である。登山者はたまに、ここまでやってきても、釣り人はまず来ないであろう。だから魚はスレておらず簡単に釣れてしまう。

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 ほどなく魚止の滝に行き着いた。確かにオショロコマは滝を登れそうにない。でもその後、幕営地点で魚を沢山釣っているので、滝の上でもオショロコマは生息し繁殖しているようである。魚止の滝の上にはテン場があった。しかし一張りが精一杯である。沢ではどこでも幕営できるという訳にないかない。土面の平らな地形というのは中々ない。もう14:00を過ぎているので、どこに幕営するかが重要な問題になってきた。

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 右手から髙い滝が落ち込み、川が左に曲がるあたりからクワウンナイならではの滑床が現れ始めた。気持ちいい。ヒタヒタと歩くのがとっても気持ちいい。雨は降ったり、止んだり。天気はすぐれないが、気持ちが良い。ここが長年、あこがれていた処なんだと思う。でもそろそろ幕営地点を見つけないといけない時間帯になっている。平らで増水時に水のかぶらない所ならどこでもいいのだが、そのようなところは探そうとすると中々みつからない。

候補地は出てくるが、平らだけれど、湿っていたり・・。

 納谷さんが良い場所をみつけた。小高く水も来ない。平らで乾燥している。ただ一つ、太さ5㌢ほどの木が邪魔をしている。ここで納谷さん「糸のこ」登場である!!これが本当に役に立った。案外、沢での幕営ではノコギリは必需品なのかもしれない。夕食には二甁さん持参の400㍉㍑の天ぷら油で揚げたオショロコマのがついた。身はホクホクで骨も柔らかく美味でした。

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新聞紙をまな板代わりにしたり、ころもをまぶすのに使ったり、二甁流新聞紙活用は勉強になった。その晩、テントを打つ雨音がずっと続いていた。

 

 二日目の朝、雨は止んでいたが、テントはビッショリと濡れている。何とかしぶきを振り払い、強引にたたむが、ザックは前日より重くなったような気がする。前日はそれなりの距離を歩いたので、標高も稼ぎ、水量も前日より僅かに増えてはいるが、気にな
る程度ではない。6:30にテン場を出発し、1時間程度でハングの滝に到着した。ここは右岸を大きく高巻くが、いつ切れてもおかしくないような残置ロープのある崖を登らねばならず、一番の難所である。二甁さんが空身で登った後、それぞれロープを繋いてで空身で登り、ザックを引き上げ、無事通過した。通過するのに3人で30分かかった。

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 その後は一気に水量は減り、階段上の小滝を通過しながら、クワウンナイ川源頭を詰めていった。源頭ではイワイチョウの黄色い絨緞が一面に広がり、その先のロックガーデンではナキウサギがあちらこちらで鳴き、まったく飽きることなく縦走路のある尾根を目指して歩いていった。

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 縦走路に出てからは標識・ロープもあり迷いづらいはずなのだが、今回の山行で唯一ルートを間違ったのが、縦走路に出てからであった。ロックガーデンでは登山道も明確ではなく、特に視界の悪い時は注意を要する。

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 ヒサゴ沼への下りにはまだ雪渓が残り、沢靴では非常に滑りやすく、雪渓を避けロックガーデン上を歩いて、ヒサゴ沼の湖畔路へ下りていった。前日朝から他の登山者とは誰とも会わず、もしかしたらヒサゴ沼避難小屋は我々で独占なのかとも考えたが、行って見ると1階は7割程度埋まり、2階にも何名かが居り、それなりに混んでいた。隣のグループはクチャンベツ登山口から入山し、ヒサゴ沼1泊でトムラウシ山に登りに来たグループであった。

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 3日目は、長い長い天人峡温泉への縦走路を下る一日である。雨は降っておらず、出発時にはニペソツやウペペサンケの山々がクッキリと見えた。残念ながらトムラウシ山

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化雲岳山頂


は雲の中である。もし晴れていたらトムラウシ山に登ったのか?という事なのだが、今回はただ下山するだけで9時間かかり、天人峡温泉着は15時10分となっている。トムラウシ山に登るためには少なくとも4時間かかり、もし登っていたら下山は19時00を越える事は明確である。例え晴天であっても下山する判断を下さないといけない状況であった。終わってみれば反省はできるが、それよりもその場で適切な判断がより重要となる。

 長い長い天人峡温泉への縦走路を全員沢靴で下山した訳だが、ぬかるみも多く、柔らかい沢靴ではつま先が非常に痛い。ころばない様に注意をしていても転び、皆ドロドロになりながら、ただ早く下山する事のみを考えて下山した。沢靴自体、ドロドロになってもいっこうにかまわないのだが、やはり登山靴の方がベターである。もし同じルートを再度歩く事があるのなら、迷わず軽めの登山靴をザックに入れて登る事にするだろう。

 

 天人峡温泉では、ただ一軒だけ残ったホテルで3日間頑張った体中の筋肉にご褒美を与える事にした。

 CHの二甁さん、SLの納谷さん、大変お世話になり、ありがとうございました。

 

ヒヤリハット

・沢での幕営地点の確保には時間がかかる。早めのテン場確保が大切である。

 

・沢山行では軽量糸のこは非常に有用である。今回の幕営地点を木が生えているという理由で放棄していたなら、4時頃、ハングの滝の高巻きを行なう事になっていた。

 

・沢靴での雪渓歩きは非常に滑りやすい。

 

・長時間の沢靴での尾根道下山はつま先への負担が非常に大きい。対策が必要である。私の今後に対する対策は軽量の夏靴持参である。

 

・滑って怪我をする箇所のNo1は膝だと思う。同じように考える人は膝パッドをつける事を強くお薦めする。