2021-7-20~22 大雪山縦走(銀泉台~忠別岳~五色岳~トムラウシ山~クチャンベツ登山口)

【山名・コース】

【期間】 2021年 7月 21~23日    【天候】 晴れ

【形態】 A・ (C) ・ P ・ 他

【性別】 男性 2名 女性 0名

【メンバー】 CL 吉K SL 部外1名

【山行形態】 尾根 (縦走) 沢登り 岩登り 登攀 山スキー 

【地点時間】〔記録者〕会員№358 吉K

1日目 7:00 銀泉台→10:00赤岳→11:40白雲避難小屋→12:10高原温泉分岐→15:10忠別沼→16:20忠別岳→17:30忠別岳避難小屋 (10時間20分 18.2㎞)

 

2日目 5:40忠別岳避難小屋→9:40ヒサゴ沼避難小屋(テント設営)10:05→13:30トムラウシ山→17:00ヒサゴ沼避難小屋 (11時間20分 17.1㎞)

 

3日目 5:00ヒサゴ沼避難小屋→10:30沼の原大沼キャンプ指定地→12:30クチャンベツ登山口 (7時間30分 15.1㎞)

 

【短信・感想】 吉K

1日目

今回の山行の特徴は2泊3日で、個人用テントを担いでのロングコースであるということ。つまり体力・体調の維持管理が大切となってくる。水場は豊富にあるようだが、2.5㍑持った。5時に層雲峡をスタートしたが、クチャンベツ登山口に車を1台デポし、銀泉台出発なるとこの時間になってしまった。ザックが重い分、ゆっくりゆっくりと一歩一歩登って行くことにする。赤岳に至るまでの奥の平では、コマクサ群落が美しかった。

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        ◆コマクサ◆


赤岳からは白雲避難小屋に向かう。天気は最高で、暑くはあるのだが風がさわやかで気温の高さをわすれてしまう。イワウメが咲いている、残雪と残雪の間にキバナシャクナ

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        ◆イワウメ◆

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       ◆エゾツツジ



ゲが咲いている、エゾツツジが咲いている。旭岳の方向に斜面を下っていくと、白雲避難小屋が見えてきた。綺麗な白雲岳キャンプ指定地には、すでにテントが二張りあり、キャンパーがのんびりとコーヒーを落としている。まだ12時にはなっていない。いつかこのようにゆっくりとここでテントを張りたいと思いながら、先へ急いだ。

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        ◆白雲避難小屋◆

これからは高根ヶ原を南へ南へと歩いて行く。既に通行止めになっている高原温泉への分岐を過ぎ、左下に見える空沼、高原沼、大学沼、そして高根が原から沼々に至る急斜面のゼブラ模様を眺めながら、平らなスレート平を歩いて行った。このあたりからコマクサ群落が増えてきた。一面コマクサ、コマクサ、コマクサ。登山道のど真ん中にもコマクサ。

遙か彼方にはトムラウシ。「本当に明日、トムラウシに登れるのか?」と疑いたくなるような遙か南にトムラウシが見える。しかし、それよりもまずは忠別岳を登らなくては

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        ◆高根が原のずっと奥に忠別岳(写真右上)◆

 

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ならない。忠別岳もまだ遠い。

しばらくすると、忠別沼が見えてきた。40年前に高校生のワンゲル部員を引率して来た事があるのだが、思い出せない。忠別沼はとても美しく、初めて見たかのように感動し

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        ◆忠別沼◆


た。もう15時を廻っているが、目の前にドーンと忠別岳が立ちはだかっている。登るしかない。ザックの重さが堪えてくる。ゆっくり、ゆっくりと登ることにする。やっと山頂。

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      ◆忠別岳山頂 明日登るトムラウシが後ろに見える◆

 

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        ◆チングルマのお花畑の向こうにトムラウシ山

山頂からは遙か南のトムラウシが、「明日、ここにおいで!」と呼んでいる。忠別岳山頂からは、まずは大きなチングルマのお花畑が出現。次に長いハイマツのトンネルを下っていく。もうすぐだ。もうすぐ忠別岳避難小屋だ。避難小屋は尾根から少し下った

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        ◆忠別岳避難小屋◆

 

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大きな雪渓の脇にひっそりと建っていた。沢水で顔を洗うと、手が凍傷になりそうに水は冷たかった。この水をガブガブ飲んで、今日の行動は終了した。本日の移動距離18.2㎞。行動時間10時間20分。

 

夜は雪渓のすぐ横に幕営地点があったためか、かなり寒く、何度も目をさました。今回の装備の忘れ物はダウンのパンツ。

 

2日目

2日目は5:40に出発となった。雪渓からの風の影響で、テントのフライはぐっしょり濡れている。テント撤収の後始末に時間がかかりこの時間となった。 

天気は今日も良い。振り返ると旭岳と忠別岳がとても美しい。五色岳まで登ると今度は今日これから登るトムラウシが雲ひとつなく輝いている。

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        ◆五色岳から振り返ると忠別岳、その奥に旭岳

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        ◆今日これから登るトムラウシ山

化雲岳からヒサゴ沼方面は大きな雪渓が広がっている。夏道も見え隠れしている。最初は、どこかに荷物をデポしてトムラウシ山に登る予定だったが、ヒサゴ沼に先に寄り、テント設営後、アタックザックでトムラウシに向かう事に予定変更した。雪渓をヒサゴ沼方面に下って行く。雲一つない青空である。天然のエアコンがとても気持ち良い。

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ヒサゴ沼ではテント設営後、アタックザックに水2㍑と行動食、雨具、軽アイゼンのみを詰めトムラウシに向かった。雪渓がヒサゴ沼に向かって大きく切れ落ちている。転倒して滑るとヒサゴ沼にドボンである。慎重に歩を進めたがアイゼン装着には至らない。

昨年、クワウンナイ川から縦走路に上り詰めた箇所に出た。地形を確認後、天沼方面に進んだ。これからは「日本庭園」と呼ばれるところで、お花畑がきれいだ。岩とチングルマと沼が複雑に庭園をつくっている。

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沼の原にテントを張り、アタックザックでこのあたりを目標地点として登山している人に出会った。最初はなぜトムラウシに登らないのだろうと思ったりしたが、トムラウシには登らず、五色岳・化雲岳間からトムラウシの全景を眺め、雪渓を歩き、日本庭園のお花畑を堪能する山行も十二分に楽しい山行であることを発見した。

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さらに気づいたことがある。トムラウシ本体の前に大きな岩だらけの尾根が横たわっている。これを乗っ越さないとトムラウシには行けない。この岩山が以外と大きいのだ。
地形図で見るよりずっと強烈な岩山である。ガスってたら方向もわからず大変だろう。この岩山を登っているあたりからガスが出てきた。もう2~3時間早く登りたかったものだが、いかんせん忠別か避難小屋らの歩きである。しかたがない。山頂では景色の半分程度がガスっていた。下りはシャリバテ気味で、チンタラと下り続け、ヒサゴ沼に着いたのは17時00分になっていた。それでもテントは既に張ってあるし、ダラダラと夕食を準備をし、早々と19時には寝ることにした。他のキャンパーがさかんに熊の事を話して

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        ◆雪渓の上に熊の親子◆


いる。気になってテントを出てみると、つい先ほど下ってきた雪渓の上を親子熊が徘徊している。急斜面をものともせずに走っている。我々はもうその雪渓方向には行かないので、気にもならないが、明日トムラウシに登る予定の登山者たちはかなり気にしているようで、同じ時間帯にトムラウシに向かおうとお互いに話し合っているようである。

ダラダラとトムラウシ山から下った分、2日目の行動時間は11時間20分、移動距離は17.1㎞だった。

 

3日目

 幸せなことに今日も天気が良い。晴天である。振り返るとトムラウシの山頂近くに居た時間帯だけガスっていたことになる。あまりにも運が悪いようにも見えるが、そうではない。ごくごく自然の流れの中でこれが普通なのである。運が悪いと恨んではいけな

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い。トムラウシ山頂でガスっていたからこそ、山頂以外は全て好天に恵まれ、絶景を堪能しつづける事ができたのである。山頂での好天を望むならヒサゴ沼に泊まり、翌日早朝、トムラウシに登る計画を立てたら良いのである。

化雲岳近くは大きな雪渓が広がっているので、うまく使ってショートカットしていった。赤さんはこのあたりのルート取りがとても上手い。GPSを見なくとも雪渓と夏道との関係が頭に入っている。勉強になる。沼の原から見た化雲岳あたりの雪渓を見て、ヒサゴ沼への雪渓のつながり具合から雪渓上を歩くルートを想像する事が少しだけできるようになった。

 化雲岳から五色岳間のトムラウシ山の眺めは、昨日と同様に素晴らしい。忠別岳とその後ろの旭岳もきれいだ。五色岳からは歩きやすい木道をどんどん下っていく。高層湿原が見えてきた。湿原の中にエゾマツが点在しているところが雨竜沼と大きく異なる。

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多くの池沼がある。水性植物も豊富である。大沼キャンプ指定地は非常に広々としており、正面にトムラウシ山が遠望できる。石狩岳から下りてきて泊まるのも良いのかなと考えたりする。3日目もここまで下りてきた。あとはクチャンベツ登山口まで慎重に歩くだけである。

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        ◆大沼キャンプ指定地◆

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 今回の山行では、全て個人装備で3日間歩く事ができた。荷が重く、疲れたが自信もついた。でも水は2.5㍑しか背負っていない。僕は汗かきで、水場のないところでは5㍑背負わないと行けないだろう。そんな事ができるのか、どこかで実際にやってみないといけないと思う。3日目の行動時間は7時間30分 移動距離は15.1㎞であった。

 

ヒヤリハット

特になし