足の仕組みと動きを知ろう(1)

足の仕組みと動きを知ろう(1)      

 

                                岳 遊 子
◆足の仕組み
  日本人は古来より鼻緒にあるわらじや草履、下駄などの履物を履き、鼻緒をつかむように足指を使うことで足裏の筋肉が付き「足底アーチ」を形成していた。我われは歩行時、体重の1.5倍もの衝撃を地面から受けているが、土踏まずの「足底アーチ」がバネになり和らげている。加齢などにより筋力が弱くなった足には「足底アーチ」が無く、腰やひざに衝撃が伝わる。


◆足裏が痛くなる
足裏に痛みが発生する原因は、おもに二つ。いわゆるハイアーチ(土踏まずの湾曲が強い)で圧がカカトや拇趾球に集中して起こる場合と、偏平足で足のバランスが崩れて過度にストレスがかかることで起こる場合がある。我われ人類が二足歩行できるようになったのは、足裏にこのアーチ形成され、発達・完成されたことによる。事実、猿の足裏にはアーチはない。アーチは非常に柔軟性に富んだもので、動きによる足の複雑な変化に対応できるフレキシブルな機能を持ち、バネ効果で衝激を吸収すると同時に反発弾力性を併せ持つ、最先端素材のような優れた性質を有している。
◆ひざが痛くなる
下り坂の場合、片足で体重を支える時間が長くなる。そのとき、ヒザの上の筋肉を使うが、普段からそこを鍛えていないと、ヒザ周辺の筋肉に負担がかかり、ヒザの痛みを起こしやすくなる。ヒザ痛の多くの原因になっている。
◆長く歩いたり、運動すると疲れる
運動を続けるうちに、筋肉が緩み、アーチが次第に低下していく。その低下したアーチを支え、引っ張り上げようとするために、他の筋肉への負担が増加する。疲労の連鎖が次第に起こる。
◆現代人のアーチが危ない
現代人の多くは、運動不足や加齢、そしてアスファルトの上で靴を履いて生活する環境などの様々な
要因によってアーチが崩れてしまい、正しく機能していない状態にあると言われている。

◆インソール(中敷き)の役割を知ろう!
靴に入れるインソールにはいろいろな役割があるが、次のような役割がある。

①圧力分散
簡単に言うと足裏全体にまんべんなく圧力がかかっている状態のこと。この状態を作り出すことで足裏の負担が軽減され疲れにくくなる。具体的には足裏の3つのアーチを支えることで圧力を分散させる役割を果す。足裏にマメやタコ、ウオノメができていないか?その多くは、足裏の一か所に圧力が集中している。こういった場合はインソールに微調整をして患部に負担がかからないようにする必要がある。
②足の歪みを整える
例えば外反母趾や開張足など、足の骨格が変形している場合にインソールが矯正の役割を果たすこともあります。足裏から骨を支えることにより、膝や腰の痛みを軽減したりO脚やX脚の体の歪みを改善する役割もあります。インソールが足裏を支える杖の役割をしている。体の動きや筋肉の使い方など種目により違うので、適合するインソールを選ぶ必要がある。

◆まとめ
登山靴は沢山の種類のものが販売されており、その中から自分の足に合った靴を見つけたいものだが、足の形にはどうしても個人差があるのでジャストフィットさせる靴を探すのは難しい。そこでその差を補ってくれるのがインソール(中敷)と靴下であり、それと同時にインソールと靴下は怪我や疲れを軽減させるなど重要な役割を持っている。登山靴がどうもしっくりとこない人、足が疲れやすいと言う人はインソールや靴下を変えてみるのも良いでだろう。
元気に歩き続けるためには、足裏を鍛えることが重要だ。足裏の筋肉は足首やふくらはぎ、太ももなど脚全体の筋肉につながっている。「つまり足裏を鍛えることは歩く力のトレーニングになる」「さらに足裏の筋肉を使った正しい歩き方ならば、効率よく重心移動し、転倒防止など、健康的な生活にもつながる」。これまであまり意識していなかった足裏やふくらはぎの筋肉を鍛えることで、全身の健康につながることが期待できる
フレイルという言葉が近ごろ新聞雑誌に取り上げられている。フレイルは英語でfrailty(もろさ、はかなさ)をいう。高齢になると筋肉や精神面が衰える状態を言うが、転じて高齢者が要介護にならないように予防することと認知症の予防を目的とする。防御因子として、まずあげられるのは運動と知的活動である。運動はダンス、ウオーキングが、知的活動ではボードゲーム(チェス、囲碁、将棋など)、楽器演奏などが特に効果的であると言われている。食事も大切で、栄養バランスのよいものを心がける。我われは普段山登りをしているので、ウオーキングの方は十分だが果たして正しい歩き方をしているだろうか。かかとの芯が潰れていないか、靴底がすり減っていないかなど確認する必要がある。すねやひざが痛がったり、歩き方が気になったりする場合も靴が影響して可能性がある。自分の履いている登山靴や日常の靴について再考し、足の仕組みや動きを今一度知っておこう。

資料:ネットの「インソールについて」。 インソールメーカ「シダスのインソール効果」