【山名・コース】幌尻岳(2,052m) 額平川コース
【期間】 2024年8月17~18日 【天候】 17日 曇時々雨 ,18日 曇後晴れ
【形態】 (A)・ C ・ P ・ 他
【性別】 男性 2名 ,女性 0名
【メンバー】 CL 藤I, SL 佐T(智)
【山行形態】 (尾根) 縦走 沢登り 岩登り 登攀 山スキー
【地点時間】〔記録者〕会員№364 佐T(智)
17日 11:30第2ゲート→ 13:35 北電取水施設 →15:30 幌尻山荘
18日 4:00 幌尻山荘→ 5:25命の水 →7:15 幌尻岳→8:20 幌尻の肩→9:10 幌尻岳→
10:40命の水→ 11:45 幌尻山荘→14:00 北電取水施設 →16:05 第2ゲート
【短信・感想】会員№364 佐T(智)
17日:
以前から行ってみたかった日高山脈の主峰、幌尻岳だが、天候で中止になったり仕事の都合で参加できなかったりで未踏となっていた。
今回は藤Iさんの企画に参加し念願の幌尻山行となる。
これまでの登山経験の中でシャトルバスを利用するような乗車時間に合わせて行動を計画する登山も初めてであり不安もあるが、これも幌尻山行の醍醐味だと捉えて楽しむことにする。
今日は幌尻山荘までの行程、3便のシャトルバスに間に合うよう札幌を出発。
車は順調に進み、あともう少しで山荘という桂峠に差し掛かったとき、道の真ん中で止まっている大型トレーラーに出くわす。
トレーラーはマシントラブルで動かないとの事、すれ違う道幅も無い為仕方なく戻ることになる。
思わぬハプニングに二人とも少し焦る、早速バス乗車時間制限の問題にぶつかる。
急いでユーターンして平取ダム側から迂回してとよぬか山荘に向かう。
少し余裕を持って行動していたのでバス出発の30分前に着くことができてホッとする。
3便は、我々だけの貸し切りだった。
バスの車内販売で熊の爪をキーホルダーにしたものがあり値段は3万円とかなり高い、買う人いるのだろうか?運転手に聞くと「アマゾンで、それぐらいで売っている」との回答。
実物を見せてくれたが想像していたより大きく手鉤のように鋭く頑丈で、これで引っかかれたらひとたまりもないなと感じるようなものだった。
第2ゲートに到着し、重いザックを背負い林道を歩き出す。
急峻な渓谷の中を進む林道は景色の変化に富んでおり飽きずに歩けた。
取水口から沢靴に履き替え河原歩きとなる。
釣りをやっているだけあって藤Iさんは歩き辛い河原をサクサク進んで行く。
巻いては河原に下りて渡渉し、又巻くというパターンを繰り返す、これが地味に疲れる。
河原歩きの途中、雨にあたるがずぶ濡れになることなく小屋に到着する。
小屋に着くと雨は止み、思い荷物を置いてくつろぐ。
夕飯は藤Iさんが用意してくれたサムゲタンをご馳走になる。
キンキンに冷えたビールまで頂き、至れり尽くせりのお姫様ツアーに恐縮しながらも堪能する。
明日は早出なので19:30小屋の消灯と同時に就寝。
18日:
3:30出発予定だったが、まだ暗く30分遅らせて4:00にヘッデンを付けて山荘を出発。
尾根に取り付くといきなり急登、計画では戸蔦別岳を回る計画なのでノロノロと進めないので頑張って登るが案の定オーバーペースでバテてくる。
藤Iさんは小瓶だがウィスキーをストレートで全部飲んだ人とは思えないぐらい軽快な足どりでズンズン登っていく。
必至に付いて行こうと思うがペースが上がらない、夜は明けて明るくなるが濃いガスが掛かっており眺望も無くテンションも上がらない。
地図を見るとしばらく急登も続く、このままだと本当にバテてしまうのでペースを落として進む。
C1730mまで標高を上げると傾斜が少し楽になる。
ウメバチソウやイワギキョウなどの花も見られるようになり花から元気をもらう。
傾斜も少し緩くなり落としていたペースを少し戻す。
眺望の無い尾根を黙々と進み7:15 幌尻岳の山頂に到着。
我々が登頂して間もなく、今度は新冠側から来たという二人組が登ってきた。
彼らは本州からの登山者で、そのうちの一人がこの幌尻岳で日本百名山の百座目登頂になるという。
それを聞いて一同祝福の言葉を掛ける。
日本百名山の最難関と言われている幌尻岳あって、彼のようにここを最後に登る百名山ピークハンターは多いのだろう。
山頂に着いてから下山時間の計算をする。
想定だと戸蔦別岳を経由した場合、山荘まで5時間、荷物をまとめて山荘を出発すると13時でゲートまで4時間とするとギリギリになる。
何とかなりそうな気もするが、自分の脚力と体力にいまいち自信が持てない。
いつもは多少暗くなっても登山口に着けば帰れるが、今回はバスに乗り遅れたらビバークになる。
時間に間に合わそうと慌てて転んで怪我などしたら、それこそ迷惑を掛けてしまう。
ビビリでネガティブ思考な自分の悪い面が出始める。
色々思案して藤Iさんにピストンで戻らせて欲しいとお願いする。
藤Iさんは戸蔦別まで行きたそうだったが自分の要望を快く了承してくれた。
引き返す事が決まり山頂でゆっくりしているとガスが少しずつ抜けて晴れ間が現れた。
そうなると七ツ沼カールを眺めて見たくなる。
藤Iさんと相談して幌尻の肩まで行って折り返すことにする。
幌尻の肩に向かって進みだすとガスはどんどん抜けて行き、今まで隠れていた広大な日高の山々が姿を現す。
二つのカールに挟まれた尾根は素晴らしい景観でテンションが上がる。
現金なもので、絶景の高揚感と計画に余裕が出たことも相まってバテ気味だった体は嘘のように回復しニコニコで尾根歩きを楽しむ。
肩まで来るとやっと七ツ沼カールがその姿を現す。
沼は干上がり気味で泥沼になっていて、ガイド本で見たような美しさではなかったが、戸蔦別岳へ続く稜線とカール地形の曲線は美しかった。
我々が景色に見入っている間もチロロ林道側からやってきた登山者が登ってくる。
七ツ沼の景色を十分に目に焼き付け、来た道を引き返す。
肩から戻ってくると幌尻の山頂は多くの人で賑わっていた。
あのガスは、どこに行ってしまったのだろうというくらいピーカーに晴れて、山頂からは日高の山並を一望できる状態になっていた。
ツアーガイドから今日の日付入り山頂標識をちゃっかり借用して改めて記念写真を撮り直し、下山に入る。
登って来た時にはガスで見えなかった東カールや北カールを眺めながら下山する。
計画通りのルートで下山していたら、この素晴らしい景色も見ずに終わっていたかと思うと藤Iさんには申し訳ないが、これはこれで良かった気がした。
11:45 余裕を持って山荘まで下りることができたので身支度を済ませ昼食をとる。
時間に余裕があるので藤Iさんは湯を沸かして即席麺を食べている、これが実に美味そうに見えた。
小屋を出発してからも順調に進み第2ゲートには1時間ほど余裕を持って着いてしまった。
戸蔦別岳を回っても、やっぱり間に合ったかなと少し後悔の念も湧いたが、タラレバを言っても終わってしまったことはしょうがない、天気にも恵まれ本日中に札幌に戻れるという事で良しとする。
下山後は、小屋番さんに教えてもらった平取温泉ゆからで汗を流し帰宅の途に着いた。
今回は念願の幌尻岳には登れたがCLの万全な計画であったにもかかわらず自分の脚力と根性の無さで
戸蔦別岳のピークを踏まずに戻って来てしまったことが少し心残りの山行となった。
この山行で改めてメンタルとフィジカルを鍛え直そうという目標が出来た。
藤Iさんとは、来年もう一つの野望が出来たので、それを叶える為に日々精進したいと思う。
【ヒヤリハット】
特になし。