2019-07-18~25 北アルプス 室堂~薬師岳~ワサビ平~新穂高

【山名・コース】北ア・室堂~薬師岳~ワサビ平~新穂高

【期間】 2019年7月18日~7月25日 【天候】晴れ・曇り・雨 

【形態】 A・ (C) ・ P ・ 他

【性別】 男性 2名 女性 3名

【メンバー】 L/吉、SL/柳、金、二、平

【山行形態】 尾根 (縦走) 沢登り 岩登り 登攀 山スキー 

【地点時間】〔記録者〕会員№

      7月18日  吉 

              17:00小樽港 出港

            7月19日  吉

       9:15新潟港→10:21JR新潟駅→12:35上越妙高駅→13:16富山駅

       13:49電鉄富山駅→14:57室堂駅~バス乗車→15:21美女平→16:15

              室堂ターミナル→16:45室堂山荘

      7月20日  吉

       室堂山荘5:15→6:50一の越山荘→7:22浄土山南峰(富山大学立山研究所

       →9:15鬼岳東面→10:40獅子岳→11:40ザラ峠→12:40五色が原山荘

      7月21日  柳

       五色ヶ原山荘4:10→9:45スゴ乗越小屋9:55→15:06北薬師岳15:15→

16:33薬師岳16:45→17:33薬師岳山荘

      7月22日  柳

       薬師岳山荘5:38→7:24太郎平小屋7:35→10:25薬師沢小屋11:00→

14:44雲ノ平山荘

      7月23日  二

              雲ノ平山荘5:45→黒部川源流徒渉9:00→三股山荘10:30~10:55→

       三股蓮華岳12:30→双六岳14:40→双六小屋16:15

            7月24日  平

              双六小屋5:40→弓折分岐7:30→鏡平山荘8:30→シシウドが原10:15→

秩父沢出合11:30→小池新道登山口12:20→わさび平小屋12:45

            7月25日  平

              わさび平小屋6:10→笠新道登山口6:20→新穂高温泉バス停7:15→

              濃飛バスターミナル9:40~14:00→名鉄名古屋16:50→

中部国際空港19:30→新千歳空港21:10

 

【短信・感想】

『思い返すと・この長い山行を思い立ったのは昨年である。以前から気にはなっていたが、なかなか決断できずに持ち越してきた室堂~五色が原~薬師岳のロングコース。行くのは今しかないだろうとの強い思いで提出した山行計画だ。

 ベテランのベストメンバーが集まってくれた。皆さんに、感謝したい。』 吉

・7月19日  吉

    フェリー「アザレア」は個室でとても快適だった。

    定時に新潟港着。タクシー2台に分乗し新潟駅へ。特急と新幹線を乗り継ぎ、

予定通り富山に着く。かなり蒸し暑い。電鉄富山に乗継し3時頃、立山駅着。

 本日はケーブルカーは運休でバスでの運行。途中バスが停止し日本一の称明の滝(350m)を近場で見ることが出来た。かなりの絶景だった。バスで良かった。

美女平通過後、霧で景色が全く見えず、視界は50m位でバスはノロノロ運転。

16:15室堂到着。室堂ターミナルで登山届を出し、カッパを着て外に出るも霧の中で標識で確認しながらやっと室堂山荘に到着した。明日も変わりない天気だか雨風は酷くは無さそうなので予定通りの早出を決めた。

・7月20日  吉

早朝小雨の中、室堂山荘出発。急登と残雪の浄土山コースを変更し一の越山荘経由に変更した。早速ライチョウ親子に出会った。この日は幸運にも三度遭遇している。一の越山荘迄は団体さんも結構いて賑やかな山道だった。その後は登山者が疎らとなったが、花の方はどんどん数を増し楽しくなった。150m位登った所は浄土山南峰に位置するが富山大学立山研究所の建物があった。

 周りに石が積まれていたが今は無人のようだつた。まもなく岩山の龍王岳の横を通る。この山はクライミング出来る山らしい。1時間程で鬼岳東面到着。雪渓を下った後、斜面を横断するのでアイゼンを着用した。アップダウンを繰り返し10:40獅子岳山頂着。この山は遠くから見ると頂上が将棋の駒の様に角張ってみえる。下りのザラ峠までの1時間は結構長かった。五色が原の台地まではまた登りが待っていた。登った辺りから木道が伸びていて小屋までずっと続いていた。

 黒部のダム湖も下の方に見えていた。山荘の標高は2485mもある。周りに雪が結構残っていた。12:40五色が原山荘到着。宿の好意で社員用の風呂に入浴することが出来た。流すだけだったが嬉しかった。夕方外に出てみると針ノ木岳が一際大きく立派に見えた。今日登ってきた遠方の山を眺めつつ幸せを感じる時間を過ごした。

  ★今日見た花々

キンポウゲ、エゾシオガマ、イワカガミ、タカネハハコグサミヤマクワガタハクサンイチゲ、トウヤクリンドウ、シナノキンバイ、シオガマ、クロユリショウジョウバカマ

・7月21日  柳  

 札幌を発って4日目、今日はロングコースの由で早朝ラテを点けて出発、幸い天気は悪く無さそう。程なく夜が明けて来て東の雲の切れ間からご来光、登りの途中だが太陽光で心が癒され斜面のお花畑も綺麗。鳶山、越中沢乗越、越中沢岳、スゴ乗越とアップダウンが続きかなりしんどい、ゆっくり呼吸を整えながら程なくスゴ乗越小屋に着く。ここからは北薬師岳までほぼ登り。北薬師手前の岩峰を越え程なく北薬師岳にたどり着く。既に出発して11時間が経過しており、薬師岳山荘着が遅くなりそうなので鞍部から山荘にその旨電話、山荘主人からユックリ来て下さいと優しい言葉に気を取り戻し、やっと本日の目標の薬師岳山頂到着。信仰の山らしく祠も有りお賽銭を捧げる輩あり。山頂からは下り一筋で緩斜面を一気に下り薬師岳山荘に日が落ちる前に到着。山荘では食後昨日から始まったと言う黒部川源流開拓時代のスライド見学。私が山を始めた時代の話も出て来て興味深かった。

・7月22日①  柳

 今日は昨日に比べ距離が短いので余裕を持って山荘で食事をして出発。スタート直後から沢筋下りで結構な悪路。程なくテン場で給水。太郎平小屋で小休止し、なだらかな登山道を進む。天気も悪くなく今日は快適と思いつつ薬師沢小屋着。昼食を取り始めた頃から雨が降り出しカッパ装着。目の前に吊り橋が有り、修行用の為に対岸に渡るのかと思いきや、正規の登山道。恐る恐る対岸に渡り登山道に取り付く、いきなりの直登ですぐ終わるのかと思いきや約3時間悪路の沢筋まがいの直登コース前進。数パーテイいたが皆さんも苦労していた。雨も本降りで稜線に出た頃は靴の中も含め全身ずぶ濡れ。吊り橋を渡る前の地図の確認がおろそかで、心の整理が出来ておらず、やっとの思いで雲ノ平山荘に着く。小屋の管理人も心得ていて、まずは着替えをして宿泊手続きをして下さいとの配慮。結局今日も雨中の7時間行動は堪えた。

・7月22日②  金

 北アルプス、歩き出してから3日目、昨日の歩行が13時間以上であったのでしっかりと足に来ている。今日の行程は約9時間、心なしか気が楽である。まだ梅雨が明けていないので今日も雨マークが有る。少しでも進みたい。

 5時朝食、6時出発、今日のコースはゆっくりの下りが4時間30分、岩場の登りが3時間、木道歩きが1時間30分。昨日までとは違い、1度方向は違うが通った道なので想像が出来るのが嬉しい。サブリーダーのゆっくりペースで、長い行程も何とか歩けている。覚えた道も、台風などで随分と荒れたり変更になったりしていた。北海道だけではなく各地で被害が出ているようでした。もう10年も前に来ているのだから当たり前の事ですが、どの小屋も建て替えられていて綺麗になっていました。下りが終わり薬師沢小屋で早めの昼食と思っていた時に雨が降ってきました。長い登りに備え、ゆっくりと体制を整え、黒部川を渡り、登りに入る。

辛いはずの登りであったが、雨に助けられ、途中若者から休まないのですかとの声がかかり、びっくりする。時々休みながら登っていたが、気が付けば何組かを追い越していたようです。牛歩と経験と雨のなせる業でしょうか? 途中、キヌガサ草の群落に力をもらい長い登りも終わりました。

木道が始まり、小屋ももうすぐのような思いでいたのですが、歩けど歩けども小屋は見えず、雨と疲れで折角美しく咲いている花々も愛でる余裕を無くしつつありました。ガスの中に小屋を見つけたときは、皆から喜びの声が上がりました。濡れた衣類で乾燥室も一杯、乾くのかと心配になるほどでした。取りあえずやっと一息、安着祝いのビールが美味しかったです。

・7月23日  二

小屋の前からは黒い双耳峰の水晶岳が東の方角に浮かび上がったり霧の中に隠れたりしている。笠ケ岳はくっきりと端正な姿を見せている。「笠ケ岳が見えている間は雨が降らない」と金子さんが言っていたので今日の天気は・・・

小屋から20分程のところにあるキャンプ地へ水を汲みに3名が降りてゆく。祖父岳は雲の中で展望もないのでパスしてチングルマコイワカガミハクサンイチゲコバイケイソウの群落の中、黒部源流へと急な登山道を雨に打たれながら降りてゆく。渡渉は雪渓の切れ目から渡り転ばぬよう対岸へ。結構な速い流れでした。対岸にはロープが置いてありました。段々と天気も良くなってきて鷲羽岳が時折姿を現す。鷲羽岳に登っていく人、降りてくる人の姿が見える。今日の工程は6時間程なので途中の三股山荘に寄り道して700円のコーヒーを頂く。中道稜線分岐先ではクロユリが沢山咲いていた。何年ぶりで見ただろうか。登山道脇には色とりどりの花たちが愉しませてくれます。蓮華岳は展望無し。ここで小屋の予約を入れる。台地のような双六岳では展望を楽しみ。広い尾根をのんびりと山談議に花を咲かせ中々小屋には着かない。カラフルなテントの花、赤い屋根の双六小屋が見えてきた。槍もちょこっと顔を出した。立派な小屋に到着。夕飯には五目ラーメンを頂いた。美味しかった!労山のカードで宿代割引500円。

・7月24日  平

 今日は気象庁が予測していた梅雨明けの日。これまでの雨が嘘のような快晴の朝。

 流石気象庁と感心頻りです。

今上天皇もご宿泊されたという双六小屋を5時40分に出発。まずは弓折分岐に向けて歩を進めます。途中の登りを終えた辺りで憧れの槍ヶ岳がくっきりと姿を現しました。その後は鏡平山荘に到着するまで雲に隠れることなく我々に鋭い岩峰を見せ続けてくれました。

途中、「黒ゆりベンチ」や「花見平」で小休止を繰り返しながら歩を進めて行きます。その名のとおり高山植物のオンパレード、きんぽうげ、黒ユリ、コバイケイソウコイワカガミ、ハクサンチドリ、母子草、大文字草等々の花畑が続いていました。

弓折分岐を過ぎると長くて狭い急な下り坂が続いています。やっと辿り着いた鏡平山荘では大休止。女性陣はかき氷、私は久しぶりにコーヒーをいただきました。

そして、小屋を出発しようとしたところで槍が映るという沼を発見しました。しかし、槍が雲に隠れてなかなか姿を現してくれません。今日は時間に余裕があるので、全員珈琲タイムをとりながらその姿を待つことに。結局、鏡平小屋に1時間ほどいましたが、槍は姿を現してくれませんでした。

その後シシウドが原やイタドリが原などで小休止を繰り返しながら、12時45分という早い時間に最後の山小屋「わさび平小屋」に到着しました。これで今回の山行は終了です。

安着祝いをしながらゆっくり休んで3日振りのお風呂を頂きました。お風呂は本当にありがたいものです。

・7月25日  平

今日は、わさび平小屋から1時間ほど下った新穂高ロープウェイ駅からバスに乗って高山、名古屋を経由して中部国際空港から帰るだけです。山行を終えて非常に気楽な気分です。

 途中、高山市で4時間ほどの待ち時間があったので、「高山祭屋台会館」で実際に使われている大きな屋台を見学し、近くの「甚平」で地元岐阜産ではない信州産のそばを食しました。(北海道産のそばが収量も味も一番のはずなのに何故と思ってしまいました。)その後、1200年前に聖武天皇が建立したという「国分寺」を訪れ三重塔や天然記念物の大銀杏を見て時間を過ごしました。

 今回の山行は、初めての北アルプス、初めての5日間にわたる山小屋泊、初めての長時間歩行(7月21日の所要時間は13時間25分でした。)と、初めて尽くしの山行でした。

 そこから得たもの、そして、また反省すべき事柄は、今後の山行に大いに役立つだろうと考えています。

 計画の策定に苦労してくれたリーダーの吉さん、絶妙なペースでみんなを先導してくれたサブリーダーの柳さん、細々とした会計を担当してくれた高山植物に詳しい金子さん、カメラマンとしてその時々で小まめに動いてくれた二さん、本当にありがとうございました。

 

ヒヤリハット

 カッパが古く長い時間の雨中行動は厳しい、今回は小屋泊まり且つ小屋で乾燥出来たからしのげたが、テント泊縦走なら翌日の行動に支障を来していたと思われる。新しいカッパが欲しいが後幾ら山に行けるか分からないし悩ましい所で有る。

 7月24日、弓折分岐を過ぎた辺りの急な狭い下り坂で谷側の左足を踏み外し、前転すること2回、横倒しとなり2メートルほど滑落しました。狭い登山道に草がかぶっていたのにその確認を怠たり、谷側の左足を登山道の法面に着地させたからこのような事態を招いてしまいました。谷側の斜面に雑草と雑木が生い茂っていたので幸いにも大事に至りませんでした。実にラッキーでした。

 急な狭い下りの登山道ではより慎重を期するとともに、谷側の足に全重心をかけることのないように注意しなければならないと再認識した次第です。