2019-07-27~29 トムラウシ山(2141m)

 

【山名・コース】 トムラウシ山(2.141m)

【期 間】 2019年7月27~29日 【天候】晴

【形 態】 A・C・P・他

【性 別】 男性3名

【メンバー】 吉CL・佐SL・竹

【地点期間】 [記録者]  竹

      7/27 札幌10:30→トムラウシ温泉キャンプ場16:30

      7/28  キャンプ場出発5:40→短縮登山口着6:08

         短縮登山口出発6:13→温泉コース分岐6:38→カムイ天上

         7:35→コマドリ沢分岐9:45→前トム平11:35→

         トムラウシ公園12:30→テン場着13:45

         テン場出発14:25→トムラウシ山頂上15:00

      7/29 下山 テン場出発6:30→短縮登山口着12:35

【短信・感想】         竹

 

 待ち望んでいた「山」に、対面するのに約40年という歳月が流れていた。

 「トムラウシ山」の思いを綴ったのは、昭和55年の1月12日、「山は65才まで続けたい。最後の山はトムラウシ山へ。雪虫の舞う頃の山を見たい。」と書いてあった。

 その実現は昨年も実行できるように見えたが行動計画の当日、身内の不幸があって中断せざるを得ない状況となった。今年チャンスがまた巡ってきた。

 奇しくも、昨年と同日の7/27~29日の日程。

 右膝の回復状態が不完全であると一抹の不安はあったものの、深い因縁を感じて今年行けなければ、二度と行けないのではないかと、チャンスを作ってくれた佐・吉 両メンバーに心から感謝した。

 

 昨年も考えていたが、「トムラウシ山」はすぐに登って下りて、そこで終わりだ」という山ではないのだ。「天上の楽園の風景」の中に私達も天幕を張りその情景に身をゆだねて、帰ってくることで「トムラウシ山」は完結するのだと思い続けてきたから、今年もまた「嵩張るテントとシュラフ」を担ぎあげるという始めての山行となった。

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7/27晴、東大雪荘から少し離れたキャンプ場に一日目のテントを張った。テントは二張り、ツエルトは一張用意したのは、気兼ねなくテント生活を味わってみたいとの考えからだ。

 キャンプ場はトイレ・水場・食台のテーブル等が完備され、使用料として一人250円が徴収される仕組みになっている。土曜日とあって夜が更けるとともに混み出し、次の日の短縮コースからの出発に備えての集合場所になっているようだ。

 

 7/28晴、朝食およびテントの撤収を終え、短縮登山口に向けて5:40分キャンプ場を出発した。短縮登山口はすでに数十台の車が留まっていて、日帰り登山者組が登り始めていた。

 登山口は6:30分出発。温泉コース分岐までは歩きやすかったが、ここを過ぎてコマドリ沢までの行程は、泥濘の泥んこ道がずーっと続いて歩きずらい。

 山道の真ん中が抉り取られていて、そこがグチョグチョ状態なのだ。

 ここまでは「カムイ天上」も含め、大して見るべきものはなく森林帯の単調な尾根道を進んで行く。

 

 やがて急斜面の下降が始まるが、サンケナイ川に向けての「コマドリ沢分岐」に進む。登山口から3時間半、待望の水場に到着して喉を潤す。川水は何の懸念もなく、そのまま飲んだ。

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 今日も、朝からギラギラとした太陽に照らされながら歩を進めてきたが、今年は熱中症に注意してきたこともあり、水分補給は十二分に行ない、ここまでは順調に歩けているようだ。 

 休憩してから後、コマドリ沢を登り返すことになるが、少し登ったサンケナイ川の上流はまだ雪渓に覆われていた。雪渓の冷ややかな風が顔をよぎり、汗した体を癒してくれるのは本当に気持ちがいい。雪渓を蹴って順調に歩を進めていく。

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 源頭部に差しかかると岩れきの急斜面に変わり雪渓は消えて、コースは右方向上にカーブを描きはじめた。大きな岩れき帯を注意しながら登っていく。

 岩の間から時折、キィキィと甲高い声が聞こえ、よーく見ると岩の上にチョコンと載った「ナキウサギ」を発見。初めての出会いであった。

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 岩れき帯の厳しい登りを過ぎると、広い尾根に出た。登り切ったところが「前トム平」だ。すでに森林限界は越えて、ここには高山植物群が根差し素晴らしい眺望が広がりはじめていた。

「前トム平」では、暫しの休憩を取りながら昼食とした。

 休憩をとった後、さらに「前トム平」から一段登りつめるとケルンの尾根に出た。ここで私達はついに、これぞ「トムラウシ山」という眺望を手にすることができたのである。十勝連峰・東大雪の連なり・そして望もうとしている「トムラウシ本峰」の山々が顔を出した。

 

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 私達は対面できたこの一瞬の感動を、心に秘めながら歩き続けたがコースは

岩稜地帯を下りはじめ、「トムラウシ公園」へと続いて行く。ようやく夢に見た楽園が近ずいてきた。何という情景だろうか。

 高山植物の花々が咲き誇り、その中を雪渓から流れでた水線がとおり、さらにその周りを大きな岩稜帯が点在し、自然の造形美を形作っていた。

 じーっと無言で風景を見ていた。

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 音・静寂・色彩・水・空気・感動・勇気、そんな言葉が混然一体となって脳裏をよぎった。何故なんだろうかと・・・・。

 40年前に行きたかった「トムラウシ山」は、実はここだったのかも知れないと、この場所の情景の一つ一つが、思いと重なりあったからかと、沸々と湧き上がる何かを押さえ切れないでいた。

 

 私達はこの楽園を左手にとりながら、高度を上げていった。「トムラウシ本峰」はもう少しだ。天気はガス状に変わりつつあったが、そんな中、本峰直下西面をトラバース気味に登り、北沼方面と頂上との分岐にでて、今日のキャンプ地である南沼キャンプ場に到達した。

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 この後、テントを張り頂上に向かうが、頂上付近で15mはあろうかと思われる強風に見舞われ、周辺は何も見えなかったがついに頂上を登り詰めることができた。

 

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 7/29晴、昨夜の強風とガスは嘘のようにからりと晴れ、最高の登山日和となった。佐・吉 両メンバーは当然頂上を目指して出発した。私は留守番隊として、テン場の整理をしながら彼らを待つことにした。

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 このテン場も「トムラウシ公園」と同様、日本庭園を彷彿とするような花々に囲まれており、夢心地の一夜を過ごすことができたのである。

 彼らが頂上から下山し3人が揃って、6:30分登山口に向って出発した。ゆっくりと歩きながら下山を楽しみ、短縮登山口に到着したのは12:35分だった。

 感動の3日間であったが、重い荷物を背負っての長期山行は、一人では決してできなかったであろうと思いつつ、昨年に引き続き労をとってくれた佐SL、緻密な計画を練って機会を作ってくれた吉CLに、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

[ヒヤリハット]

    特になし