「冬山で注意すべき要点はここ」

🔷たいすけのよもやま話

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      冬山で注意すべき要点はここ。     辻井泰輔

 

冬山でもっとも恐ろしいのは雪崩である。斜面を速い速度で下り貴方を流してしまう。流れたデブリはいったん止まると固く締まり、埋められた貴方はまず抜け出すことはできない。雪崩に会わないようにすることが何よりも肝心だ。そのためには、どのような場所で雪崩が起きやすいか知っておく必要がある。我々は冬山講習会、会の学習会や自身の体験から冬山対策についてかなりの知識を持っている。しかし何故冬山事故が起きるのであろうか。ここでもう一度考えてみたい。

□雪崩

一般的に雪崩は「傾斜が30度~45度の傾斜で起きやすい」と言われえている。30度以上は雪が自重に負けて崩れやすくなり、傾斜が45度を超えるとこんどは雪が付きにくくなるため、雪崩は起きにくい。傾斜は見ただけでだいたい分かるが、地形図から知ることができる。従ってミーテングのときにこれから行こうとするコースに雪崩の危険地域を地形図にマーキングしておきたい。国土地理院の25,000分の1の地形図の場合、等高線は10mごとに入っている。そこから計算すると、

          斜度30度=等高線の間隔0.7㎜

          斜度45度=等高線の間隔0.4 mm 

つまり、歩いている斜面が地図上で等高線の間隔が0,4~0.7mmの時は要注意と言うことだ。地形としては、沢状の場所で発生しやすい。しかし、ただの斜面でも発生するので、沢でないから安心とは言い切れない。沢状の地形で、周囲に樹木があるのに一部木がなかったり、木が折れている場所があったら要注意。そこは以前に雪崩があった可能性が高い。森林限界以下の場合、一般に広葉樹林は密度が薄く雪崩やすいといわれている。

□雪庇

雪庇ができやすいのは稜線上の風下。複数で歩く際はより注意し、確保して一人ひとり通過する。

□吹雪・ホワイトアウト

トレースが消える前に引き返すのが上策。進まざるを得ないときは、GPSで位置確認。GPSのバッテリーの残量や機器のチエックを入念に行う。むやみに行動しないでビバークの準備をする。冬山はいきなり入るのでなく、降雪前に何度も足を運んでコースを体で覚えておきたい。

□急斜面での滑落、落石

夏山と冬山の大きな違いの一つは、固く凍った氷の斜面では止まらず滑落していくこと。滑落しないためのピッケルを使った滑落停止の歩行技術を訓練する。冬山でも落石や雪の硬いブロックなどが落ちてくるのでヘルメットはマストアイテム(和製英語must+item 必需品)。

□スノーブリッジ

基本的には避けて通るべきだが、通過する場合はザイルで確保する。通過する前にストックなどで硬さや耐久性を確認する。最後の人もザイルにカラビナなどで確保しながら静かに通過する。

参考資料;枻(えい)出版社。PEAKS 2015,1