2019-08-04 雷電♨ 湯内川~朝日温泉まで

【山名・コース】雷電♨ 湯内川~朝日温泉まで

【期間】 2019年8月4日(日)   【天候】 快晴

【性別】 男性 1名 女性 3名【形態】 A・ C ・ P ・ 他

【メンバー】 CL笠 SL二 塩 千

【山行形態】 尾根 縦走 沢登り 岩登り 登攀 山スキー 

【地点・時間】7:40雷電♨P出発8:20~8:50F1 9:00F2 9:50F4 

11:40~11:50F6の高巻 12:40F8 13:30朝日♨跡 14:40下山 駐車場

【短信・感想】     千

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 起点の雷電、終点の朝日、両温泉共に今は廃業してゴーストな感じの湯内川遡行計画は去年からあったが、海を泳いで沢に取り付くという「完璧に暑い日限定!」プランのためその実行は満を持して、今日この日となった。毎日、暑さにうだっていた8月初めの我々で、ずぶ濡れ覚悟には何の躊躇もナイ!いつもの沢装備に増して、防水対策を施した。

 スタートはまず、道路から海岸線に下りて岩浜を歩き海に突き出た鼻をまいて進む。この期に及んでまだ「岩をへつって行けるんじゃないの?」と何故か往生際のワルイのは誰?

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 でも、現場を一見してそれはすぐに廃案に。海中を進むしかないことは、つかまりどころも無い岩壁を見れば即断だ。・・・じゃ!泳ぎます。脚の届くところは歩き、深い部分すいすいスイミングで前進した。ほんの短い区間、ロープで引っ張ったりして全員が上陸を果たす。波も無く穏やかな海で助かった。

取付きの川から海へ、立派な滝が落ちているのが最初の関門のF1であった。女子3人は待ちきれなくて滝のお傍へ。一段目の傾斜は自力で上がり、そこから上の厳しい斜面の突破はCLの出番だ!空身で上手く上がってから、ザックを引っ張り上げ、我々にロープを下してくれるCLさすがです!後続が登っている間に、何ともう一パーティがやって来た。

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                 F1(滝1)

6~7人位のツワモノっぽい雰囲気が漂う方々に後ろから眺められ、待たれるのは結構プレッシャーではあったが、「いや、ここで変に焦ってはならない」と気を取り直してロープを結んだ。そして越えてしまえばこっちのモノ、眺めの良い滝の最上部から下を見下ろして「へっへ~、お先に失礼」と百松メンツは行くのだった。

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                 F1上部

間もなく現れたのは、滝つぼを抱えた二段の滝F2。ここはCLとSLが左右それぞれにへつりで攻める。どっちが上手く行くかな?自分だったら左右どっちに?と後ろで見守る塩さんと私。リーダー達は、結局二人とも同時に滝の下段に到達して、次の策を思案中だ。

事前情報を地図上に仕込んで来た塩さんによると、上段の滝は中央突破だとのこと。それを叫んでも、水音に消されて届かない。私達も行くしかない!と意を決して、おっかなびっくりヘツリにかかった。水面から高い所を行くのが嫌だったが、落ち着いて見ればちゃんと手がかりも有り無事に到達、ヨカッタ!そして『中央突破』の勇ましさに酔いしれる私は止まらずに上段の滝へ突入だ。今日はね、濡れようが何だろうが、良いのです。手足を突っ張り、水流に負ける事無く前進すれば意外とイケイケで抜けることができました。

やったー!嬉しく後続の皆さまの姿を撮影なぞしていると、「ホレ、早くロープ頂戴!」と声が飛ぶ。わ、そうか!いつも出してもらってばかりいてスンマセン。慌ててロープを繰り出した。

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               F2(滝2)

 この直後には、またもや水流の勢いよく落ちるF3が出迎えてくれた。これは右岸を巻いて易々と越えられるのに、さっきのF2に味をしめた私は又もや水流に突っ込み「行けるところまで」と、強欲なチャレンジを。でももの凄い水圧に逆らい登ることの何と大変なことか!?内心、ヒィイィーと思っている所へ、上から下りて来るロープが。こりゃ、神様ありがとう~と、急ぎエイトノットを結びビレイループのカラビナに付けたんだけど、ホッと出来ない、張ってくれ~!んがっ無言のまま力尽き、水流に負けてズザザザー💦💦

きっと3m位は流れて落ちたけど止って、ほうほうのていで引っ張り上げて頂きました。

 そしてやがてF4の登場、ここは「リーダーよろしくお願いします、行ってください!」の場面だ。緑の苔むすヌルヌル岩をもサクリ、サクリと身軽に上がり全員安心の確保です。感謝!

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テンション上がりっぱなしで「愉快だね~」と会話し、「後ろのパーティ、全然追いついて来ないね、人数多いと手間取るんだわ」などと言いつつ、前半の行程を意気揚々と消化した。今日はF8までだからだ。中盤で穏やかな流れを遡り、F5~7も順調に越えて行った。F6の困難な滝は、近寄りもせずハナから高巻く。「あそこは力を持て余している若者達に任せておけばイイの!」と。

 やがて奥の方にF8最後の堂々たるV字型の滝が見えてきた。これも右岸の乾いた岩壁

をリーダーが先行して登って行く。その間に、女子組は記念撮影!イエ~イ✌✌

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              F8(滝8)                     

 岩壁登りは足場も豊富に見え、ノーロープでも行けそう?!というメンバーに、最後まで慎重に行きましょうとSLの指示で、確保技術を復習しながらのビレイだった。

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             閉鎖された朝日温泉

 朝日温泉は数年前に閉鎖された後も、更に荒れた感じで湯壺だったと思われる岩の窪みには廃材が重なり合って被さっていた。ここは雷電岳の登山口になっている。足元の沢にニホンザリガニを見つけ、しばし遊んでもらった。下山路はここから出発地の雷電♨までひたすら林道をゆるゆる下って、ほぼ予定通りに到着した。その時、目に飛び込んできたのが、道路に並ぶ消防自動車、救急車、パトカーの赤白黒。「何かが起こった!」???

 消防隊員が二人、我々を見つけて近づいて来る。「登って来たんですか?」と問われた。地図を広げて行程を説明したら、「途中の滝で事故があって、自力下山できなくなったと通報があり、今ヘリで救出するところ」とのこと。あの後続パーティだろうか・・・。

 やはり慎重に安全に行って、事故なく下山できるのが何よりだと心底実感した。

札幌に帰る途中、救助が終わって怪我人を搬送中と思われるヘリが上空を飛んでいった。事故者の早い回復を祈りながらそれを見送り、私達は一路、温泉に向かうのだった。

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      ニホンザリガニ

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 ※後日、札幌市内山岳会の会報9月号で、事故報告が掲載されましたので、今後、同様な事故を起こさないためにも、事故報告を掲載します。

https://hyakumatu-sapporo.hatenablog.com/entry/2019/10/11/215051