2023-7-22-23 エサオマントッタベツ岳(1,902m)

【山名・コース】エサオマントッタベツ岳 1,902m (エサオマントッタベツ川本流)

【期間】 2023年7月22日~23日 【天候】 晴

【形態】 A・ (C)・ P ・ 他

【性別】 男性 2名 ,女性 0名

【メンバー】 CL佐T(智), SL 佐TK

【山行形態】 尾根  縦走 (沢登り) 岩登り 登攀 山スキー 

【地点時間】〔記録者〕会員№364 佐T(智)

22日 5:35駐車スペース→6:50林道終点→9:40 二俣(997m)→11:50 北東カール→

14:41 JCTピーク(1869m)→15:00 テン場(鞍部)

23日 4:00 テン場(鞍部)→4:30 山頂 →8:30 JCTピーク(1869m)→9:45 北東カール→

    12:20二俣(997m)→15:05林道終点→ 16:10駐車スペース

【短信・感想】会員№364 佐T(智)

トッタベツヒュッテに前泊、3時に起床し朝食をとりヒュッテを出発。

駐車スペースにはワンボックスとジムニーの2台が停まっていた。

空は晴天、重い荷物を背負い登山開始、林道に入って早々崩落箇所が現れる。

佐TKさん曰く昔はかなり奥まで車で入れたらしいが、今はあっちこっち崩落しており踏み跡も不明瞭な箇所があり、人が入っていないように感じた。

入渓してしばらく河原歩き、沢から目指すエサオマンの山頂が見える。

沢は特に難しいところは無いがザックが重いので普段軽々飛んでいるところポールをつきながら慎重に渡る。

分岐は全て右俣だったはずだが、佐TKさんが左股に入る。「あれっ?」と思ったが経験者の進む方向に付いて行く。

雰囲気がおかしいのでGPSで確認するとルートを外れてガケノ沢に入っている。

佐TKさんに声を掛け、ルート修正する。

途中で後ろから上がってきた単独の男性に追い抜かれる。

Co1200あたりに土石流が溜まりゴーロになって歩き辛い、日差しがモロに当たりおまけに水も伏流しており暑い、汗がダラダラ流れ体力を奪われる。

鉄人佐TKさんのスピードに合わせて歩いていたらバテてきたので、少し距離を空けて自分のペースに落とす。

Co1290mの大滝まで、それ程難しいところは無い、大滝を越えると滑が始まる。

滑と言っても傾斜があるのでホイホイとは進めない。

佐TKさんは、わざと滑を歩いて楽しそうだが自分は無理せず巻き道などを使いながら高度を上げて行く。

暑さ、荷物の重さ、傾斜のキツさ、の三つの「さ」でバテバテになりながら歩く。

滑が終わってふらふらしながら歩いていると、先頭の佐TKさんが立ち止まって前方を指差す、見ると待望のカールが現れる。

岩壁で覆われた大きなコロシアムのような形状、カール底に広がる花と緑の景観に思わず「おおー!」と歓声を上げる。

ザックを下し興奮しながら、その風景に向かって夢中でシャッターを切る。

カールには湧水が沸々と湧き出ており、ボトルで汲んで喉を潤す。

「うまい!」こんな山奥で冷たい水が飲めると思わなかった。

まさに楽園と呼ぶにふさわしく、時間もあるので行動食をとりながら、しばし憩う。

くつろいでいると先行者の男女ペアが下りてきた。

彼らは日帰りのスピードハイカーだった。

声を掛けて話すと、彼らが登る時も熊がカールを徘徊していたとの事、この先山頂までは、追い抜いて行った単独の男性と我々だけとの情報を得る。

ネットの情報でもカールを熊が徘徊していると書いてあったが、やはり居ついているようだ。

計画では、カールにテントを張る予定でいたが佐TKさんと相談して、テン場を稜線に変更する。

男女ペアに教えてもらったルートで雪渓の左を進むが、途中で踏み跡を見失う。

「もっと左じゃないか」と言って、一つ隣の沢形を進む、これが間違いで完全に藪に突入する。

藪と格闘しながら、やっと稜線に出たが稜線も這松が茂り藪化しており難儀しながら進む。

一等席のジャンクションピークのテン場には、既に単独の男性のテントが張られており、我々は止む無く鞍部のテン場に向かう。

15時に鞍部のテン場に着きテントを張る。

テントを張り終えて南西の方向を見ると立派な山容のナメワッカ岳が存在感を出しながら「良く来たな」と出迎えてくれた。

しばらく景色を眺めながら安着の酒をチビチビ飲む、晴れていれば山頂まで登って夕日をみようと計画していたが、徐々にガスが出始めたので、テントに入って反省会となる。

反省会は延々続き、薄めに薄めて飲んでいたウィスキーも底が尽き、22時に就寝。

翌朝3:30起床、御来光を拝もうと4:00にテントを出て空身で山頂を目指す。

生憎、太陽に雲がかかり期待通りの御来光とは行かなかったが、ガスは晴れて眺望良く満足しながら太陽を拝む。

「北カールを見に行こう」と佐TKさんの誘いに乗って北峰まで足を延ばす。

北峰までの踏み跡は這松で覆われ朝から藪を漕ぐ、北峰に着くと幌尻岳と戸蔦別岳が迫ってくるように大きく見えた。

北カールを見下ろすと鹿の群れが斜面で草を食んでいる。陽光に照らされた、鹿たちを見ていると何とも心が和む。

山頂に戻って山座同定しながら再び眺望を楽しむ。

昨日は雲に隠れていたカムエクもバッチリ見え、滝雲が流れるその景色は幻想的だ。

テントに戻り湯を沸かし朝食をとる。

山で飲むコーヒーは美味しく2杯もお代わりしてしまった。

風が強く、佐TKさんの指導の元で慎重にテントを解体しとりあえずザックに入る体でシートをざっと畳む。

テントを撤収し重くなったザックをヨッコラショと担ぎ下山に入る。

ジャンクションピークに着くと単独の男性もテントを畳み下山するところだった。

ジャンクションピークを少し下りたところに踏み跡があり、ここを下る。

踏み跡を辿るとガレ場の沢形に出た。

落石に注意しながら距離を保って慎重に下る。

Co1700mまで下ったところで崖斜面になる。

残置されたロープはあるが、そのロープを使って重いザックを背負い下りるのは危険。

東側にトラバースしながら下りられそうなルートを探り高度を下げて行く。

想定より時間を要したが無事カールまで辿り着く。

カールで休憩をとりながらテントシートを畳み直す。

冷たい湧水を汲み、カールに別れを告げ再び下山開始。

テントでゆっくりし過ぎたのとカールまでの下りに時間を掛け過ぎたので、休憩を少なめにして黙々と下る。

暑いので、わざと川の中をバシャバシャと歩く。

沢登りをすると特有の沢水臭がするのだが、エサオマンは水がきれいなのか、沢水臭が全くしないので休憩ごとに川の水で顔を洗いクールダウンする。

林道終点で最後の休憩をとる。林道には昨日は無かった熊と思われる食い散らかしや掘り返し、新鮮な糞が落ちている。

ピーピー笛を吹きながら林道を進み、駐車スペースに到着したころには疲労困憊だった。

日高山脈への計画は、ここ4年ほど毎年立てるが天候に恵まれず、コロナの影響などで計画を果たせずにいた。

今年、やっと念願の日高山脈を歩くことが出来た。

これで少しは満足すると思ったが、稜線から眺めた山並や美しいカールを見て益々日高の山に魅了されてしまった。

さて来年は、どの山に行こうかなと今からワクワクしている。

ヒヤリハット

特になし。